「きのう何食べた?」が終わってしまう。。。
テレ東系深夜ドラマ、「きのう何食べた?」。
セール品や伝家の宝刀・めんつゆなど、日常にあるものを用い、無理をしない食卓を通して“暮らし”を丁寧に描いている作品だと思います。
ゲイカップルだから特別、なのではなく、ただの“暮らし”。だからいい。
もちろん細かく原作と比較したら違うとかデフォルメしすぎと思うのかもしれないけれど、ひとつの作品として、世界観や役者の演技・キャラクター作り等が、原作の芯とか空気にあたるものとズレていないことが、平日深夜にストレスなく見られる理由のひとつかと。
見せたいものと見たいものに乖離や過不足がさほどない、というのでしょうか。
デフォルメやステレオタイプを活用しているところはあるんだけど、それが見せたいものをくっきり見せるためだけに使われてるからちゃんと活きているというか、こういう人がただ日常生活を送ってて、その暮らしの中に当たり前に存在する感情や葛藤が、ただそこにあるところを描いている・・・というのかしら。
あんまりうまく言えないけれど。
あと、意外に大事なのが30分番組だということ。
これが1時間ドラマになると、急にくどく、重苦しくなると思う。
30分だから、日常のひとときを切り取って見せてもらってる感じにおさまるのかな?と。
こう、ものすごく特別な何かはほぼ起きないけれど、よく考えたら何もないと言いつつアナタの日常にだってちょっとしたドラマは起きてるじゃない?という雰囲気が、とても日常らしさを表しているなと。
ゲイカップルだから特別な行動や言葉があるわけでもなく、本人同士のちょっとしたぶつかり合いはありつつ、男女のカップルならしなくていい苦労や不安もありつつ、でも形が違うだけで、どんなカップルや家族にも、まあ、いろいろあるよね?それでもなんとかやっていくよね?という雰囲気の中で世界が回ってるのがいいなと。
そのまあるい日常の着地点かつ起点が、シロさんお手製の夕食だったり、笑顔の外食だったり。
飯テロ・・・さすが人間の三大欲求(笑)
いやいや、そうじゃなくて。
最終的に、「美味しいものを美味しいと笑顔で言い合える相手がいるのって、いいよね。」ってところにまとまっていくのが、西洋のおとぎ話の「王子様とお姫様は結婚して、お城で幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。」感に通じるなと。
もちろん結婚はゴールじゃないから、この先もいろいろあるはずだけど、ひとまず第一のゴールを迎えた今は幸せです、っていう雰囲気。
普通の恋愛ドラマだと、そもそもおつきあいという第一のゴールもしてなかったり、第一のゴールは迎えてても恋愛イチャコラ待ったなしジェラシーバッチ来いだったり、(どうせこうなるんでしょ?ってある程度予想のできる)不安要素で次回に引っ張るものがほとんどだと思ってるのですが。
でもこのドラマは、裏側に大きな不安はありつつも、ちゃんと仲直りしたり不安解消したり、ひとまず自分たちにできる不安要素の除去をしたほっこり状態でラストを迎えてくれるので。それが毎回、1作品を読み切った読了感に近いものを与えてくれる。
毎回必ず解決してくれる安心感も持った状態で、まだ扱ってない(扱い終わってない)どんなテーマを次は?って楽しみもある。
そういう意味では水戸黄門とか大岡越前とか暴れん坊将軍とか、そういう連ドラ時代劇に近いつくり方をしているのかな。
もちろん役者陣の怪演あってこそ。
ドラマ制作の第一報から「この2人のケンジとシロさんならきっと…!」な期待値は高かったのですけれど。
もう、予想通りの好演で、予想以上の好演。
あんなに乙女なケンジがしっくりくると思ってなかったし。
シロさんの、乙女ケンジの受け止めっぷりがちゃんとシロさん。
やっぱり、イイ!
・・・からスタートして。
次々と出てくる皆さんがどれも、グッとサムアップしながら「納得」「でかした!」って言いたくなるというか。←なんで上から目線?
外見からってのもあるし、外見以上にキャラ(中身)がってのもあるけど、どの角度からどうインしてきても、最終的にはあるべきところに収まってる感じの「納得」なんですよね。
役がちゃんと似合ってるから、その場で生きている感がよりくっきりする。
納得のキャスティング。
代表作にはなるけれど、ハマリ役ではない、その塩梅がちょうどいい。
これは来週を待つ甲斐のある作品だと思ってます。
もう終わっちゃうけどさ。
(もちろん一気見してほぅ……となるのも捨てがたい。)
再放送やシーズン2をお待ちしてもよろしいでしょうか?(笑)